2011年08月 アーカイブ

 回顧・一学期教職員写真展

毎年1学期と2学期に教職員有志(OB教員も含む)の作品が展示される恒例の「教職員写真展」。参加される先生方の中には、写真コンテストでいくつもの賞を取っており、すでに写真集を出版されているプロ顔負けの先生もいて、毎回その作品を楽しみにしている生徒・保護者も少なくないと聞きます。
今年一学期に展示された写真の中には、東日本大震災の被災地に春休みボランティアに赴かれた先生が撮影してこられた写真もあり、見る者に多くのことを考えさせました。
忙しさにかまけてご紹介の機を逸してしまい、展示はすでに終了してしまいましたが、その記録をここにきちんと残しておこうと思います。
(教頭 中田大成)

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 第二回数学科リレー講座「ガロア生誕200年記念講習会」第六日目

最終日の今日(27日)は網谷先生が担当(写真1)。ガロア理論のアプローチの方法はいくつか考えられますが、昨日の授業を聞き、その「バトン」を受けて、アンカーはスタートされました。
スタート直後、ガロア理論で何が得られるのかについてあらためて説明されました。群、体、自己同型写像etcと新しく聞く用語が飛び交っていたこの2日だけに、まずは、それらを勉強することの意義がわかるこの説明にホッとしたことでしょう。
とりわけ、今日までに十分には説明がなされていない正規部分群の概念については、根が有理数とべき根で表されない代数方程式の存在を明確にするために導入したものとの説明は明快至極でした。
第一コーナーを回るあたりで、方程式のガロア群の定義が登場。最終日の大団円へいざなわれる生徒たち。昨日話のできなかった(本講座のひとつの山である)3次方程式のガロア群が、根の差積を用いて具体的に求められ,この群が一般には、三日目に出てきた3次対称群になることが説明されました。ときにはガロア群が3次巡回群になる場合があることにも言及され、「おはなし」だけに終始させまいという網谷先生の熱意を垣間見ます。折に触れて、演習問題も用意されているので、生徒は実感しながら聞いています(写真2)。
中間地点にさしかかり、いよいよガロア理論の本題である,体の拡大とガロア群の縮小の関係が登場しました。「解けていない」方程式を「解けた」方程式にするために,係数体にべき乗根を添加して拡大体の列をつくること。そのとき,各拡大体上のガロア群が縮小して部分群の列が対応すること。そして,方程式の可解性がガロア群の可解条件で表せることが,見事に示されました。
最終コーナーからは、3次方程式の根の公式を振り返り,ガロア群を使って体の拡大列とガロア群の正規部分群の列を示し,根が平方根と立方根をとることで求められる仕組みを生徒と共に確かめてゴールのテープを切った網谷先生(写真3)。見事なアンカーぶりでした。
最終日らしく、大学の講義のような高度な内容でしめてくくられた本講習。前日までに準備してきた項目が周到に用いられていましたので、夏休みの残りで、じっくり読み返すと必ずや理解できるものと思います。残念ながら、5次方程式の不可解性までは時間が足りず言及されませんでしたが、本講座で代数学の妙味を感じた生徒たちにしてみれば、「理解せずに終われない!」はず。そう、この先は“自ら”学ぶのです。復習していて分からないことがあれば、遠慮なく担当者に質問してください。共に、学ぼうではありませんか。
最後に、ガロアの意味では5次方程式は解けませんが、“テータ関数”を用いれば、解を表示することもできるのです。そして、それはガロアの意味とはどう違うのでありましょうか?こんな風に、まだまだ数学の楽しみは続きます。
ともあれ、偉大なガロア先生生誕200年に際し、このような試みができたことに担当者一同、感謝で一杯です。熱心に聴講してくれた受講生の皆さん、有難うございました。皆さんの今夏の思い出のひとつにしてもらえれば、こんな嬉しいことはありません。
数学科のリレー講座。また、来年の夏にお会いしたく思います。ごきげんよう、さようなら。

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  (写真1)

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 第二回数学科リレー講座「ガロア生誕200年記念講習会」第五日目

【講義を終えて】 今日(26日)は体(たい)の説明から開始し、最小分解体、体の自己同型写像、そして二次方程式のガロア理論という流れで話をしました。
講義のために自分用に作成したメモにおいて、定義のチェックや、具体例の計算が穴埋め形式で作業できるようにして配布しました。これは簡単ではあるものの効果的な具体例を計算をすることで、「ほっとしながら」理解し、納得することを目論んだことによるものです(写真1))。
結果、2次方程式のガロア理論を説明し終えたところで、残り時間が5分。3次の場合の概要と、5次方程式では、5次交代群が自明な群以外の正規部分群を持たないことから、べき根拡大ができないゆえに根の公式が作れないことを説明。余談に、20年前に作った5次交代群の乗積表(60×60=3600箇所の計算!!)を公開(写真2)して授業終了となりました。
チャイムがなったとき、力尽きて倒れる感じがしました。前向きに倒れたか、はたまた後ろ向きに倒れたかは受講生のみなさんの判断を仰ぐほかありません。  
メインと考えていた3次方程式のガロア理論について少ししか触れられなかったのは残念でしたが、2次方程式のガロア理論を、与えられた2次式の最小分解体の自己同型写像を通じて説明できた(写真3)のをよしとするか、と慰めています。
さて、いよいよ明日は網谷先生がガロアの天才を余すところなく、説明してくだいます。ご期待ください。

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(写真1)

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 理科・SPP講座「霧ケ峰・諏訪湖のフィールドワーク」4日目

 最終日の4日目(25日)は,信州大学山地水環境教育センターで,この実習のまとめとして,宮原裕一准教授より「諏訪湖水質の長期的変動と近年の傾向」,花里孝幸教授より「湖の生き物たちに学んだ人と生態系のかかわり」と題して,お話をいただきました。どちらもとても興味深く,考えさせられるテーマで,生徒からも活発な質問が出ました。90分×2コマの大学と同じ講義でしたが,面白かったようで,皆,集中して聞いていました。また,昨日,分析しきれなかったクロロフィルの計測なども行いました。
 4日間,とてもハードな内容でしたが,貴重な体験を持ちかえってくれたと確信しています。そして,多く の方々にお世話していただきました。このことに感謝して,恩返しとして,これを学校生活に還元し,さらに充実した学びにして欲しいと思います。また,今回参加できなかった生徒にも伝えてください。お疲れさまでした。
信州大学山地水環境教育センター: http://www.water.shinshu-u.ac.jp/index.html

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宿舎の「ヒュッテみさやま」の前で記念撮影。3泊お世話になりました。

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 第二回数学科リレー講座「ガロア生誕200年記念講習会」第四日目

 後半のトップバッターは、数学科主任の春木先生(写真1)です。まずは、編集子の私、春木先生にお詫びせねばなりません。というのも、最後の2日間で方程式の話をしたいので、4日目は、部分群と正規部分群、それと商群の話をお願いします、と依頼したところ、「そりゃ、むちゃですよ!昨日、数字を習い始めたこどもに今日はわり算を教えるようなものですよ…」と困惑されました。それを承知で、「確かにそうかもしれません。が、そこを先生のお力でなんとかお願いします」と半ばゴリ押しで承知いただいた次第。はたして、今日の春木先生は、いつも以上の気迫(写真2)でこの難題に応えてくださいました。
 話は巡回群と対称群のみならず、クラインの四元群、そして二面体群など、豊富な例をご紹介いただいた上で、正規部分群の説明に辿り着かれました(写真3)。
多少スピーディーな授業になりましたが(誰がそうさせたんだ!の声あり)、しかし、生徒に聞いてみると、復習をしてくれたし、演習問題をつけてくれているから大丈夫です、とのこと。どうやら、受講者のやる気は編集子の想像以上のものがあるようです(この熱意には応えねば、との使命感に駆られます)。

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  (写真1)

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 第二回数学科リレー講座「ガロア生誕200年記念講習会」第三日目

本講座の内容としては、今日(24日)で前半終了となります。宮先生(写真1)の登場です。今日は昨日の内容を、後半につなげる、極めて重要なポジションにありました。内容は「群」を実感しよう、というもので、後半で重要な巡回群や対称群について、丁寧な解説がなされました。先生は、ユーモアを交えながら、随所で指名して答えさせたり、演習問題を解かせる(写真2)ことで、活気ある授業となり、目的を十二分に果たされました。置換の積を、アミダくじを用いて説明されたくだりでは、「なるほど、そうなっているのか!」と、感嘆の声が生徒から漏れ聞こえてきたのが印象的でした(写真3)。明日は、ガロア理論を理解するために必須であるものの、理解が難解とされる正規部分群と商群を主たるテーマに授業が行われます。後���もどうぞご期待ください。

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 (写真1)


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 理科・SPP講座「霧ケ峰・諏訪湖のフィールドワーク」3日目

 3日目(24日)は,天気にも恵まれ,湖の穏やかな午前中,諏訪湖で湖沼調査の方法と実習を行いました。今日は,信州大学山地水環境教育センターの先生方に協力をいただき,観測機器の測定方法を説明してもらい,それぞれ船上から実際に実践してみた。これらの観測方法を用いて,湖沼の真ん中(湖心)で,深さごとの水質調査を行ったり,水草帯の船上からの見学も行ったりしました。
 午後は,部によって行動を別にしました。生物部は,信州大学山地水環境教育センターで顕微鏡を使ったプランクトンの計数や同定,クロロフィルやセストンの計測を行い,地学部は諏訪湖周辺の流入河川の水質調査を行いました。
 夜のミーティングでは,それぞれの活動を簡単に共有するため,今日行った概要を部毎に発表してもらいました。今日で霧ケ峰ともお別れです。寂しいですね…。明日は総まとめの講義です。しっかり聴いて帰りましょう。

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湖心での実習(透明度を測る透明板を沈めています)

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 陸上部、徳光会長のスタートをお手伝い

 先日、日本テレビ系列で放映された「24時間テレビ」はご覧になりましたか。今年のチャリティーマラソンでは、海原会(本校OB会)会長の徳光和夫氏がランナーとしてご活躍されました。そのスタート地点の警備を高校陸上競技部の部員たちがお手伝いしていたのにお気づきになったでしょうか。
 きっかけは、高陸部長の渋谷くんが徳光さんに手紙を書いたことでした。4月に今年のランナーが徳光さんだと発表されると、海原会会長の徳光さんの挑戦に何かお手伝いできないかという気持ちと、同じ長距離ランナーとしての応援の気持ちもあったのでしょう、渋谷くんは何度も推敲した手紙を出しました。海城高校陸上競技部として徳光さんの何かお力になれないかと申し出たのです。そして、それを読んでくださった徳光さんから、チャリティーマラソンのスタート地点の警備をお願いできないかとのお話をいただいたのでした。
 当日は有志の17人の部員が集まりました。第1回のチャリティーマラソンからこの企画を支えていらっしゃるという大澤プロデューサーのお話を伺い、何か1つのことを全身全霊かけてやり遂げる、その一生懸命の姿を視聴者に観てもらうことで、視聴者の心に何かを沸き上がらせることができたら、というチャリティーマラソンの趣旨を確認しました。その後、ついに徳光さんが登場し、周囲のTVクルーの人たちに独特な緊張が走りました。とはいえ、徳光さんは非常にリラックスしていらして、部員たちにお手伝いへの感謝の言葉をかけて下さいました。彼らにとってこれから大きな挑戦へと向かう大先輩の姿を目の当たりにできたことは、今後の何よりの励みになっていくのではないでしょうか。

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(徳光会長より感謝のお言葉をいただく部員たち)

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 理科・SPP講座「霧ケ峰・諏訪湖のフィールドワーク」2日目

 2日目(23日)は,朝から強く雨が降っていたため,昨日,教員が撮影した写真を元に,図鑑等を用いて,それぞれ分類と同定を行いながら,少し様子を見ました。雨が弱まってきて,9時半から予定コースを縮小して,車山周辺から霧ケ峰自然保護センターまでを散策しました。途中,基本的な植物の同定を行ったり,地形図と照らし合わせながら地形と植生の関係を考えたたり,沢の水の簡易水質を調べてみたりしてみました。
 午後は,まず霧ケ峰自然保護センターにおいて,職員の方々に「霧ケ峰の自然環境の保全」というテーマで講義をしていただきました。内容は,霧ケ峰の自然に対し,昔の人が生活のための草刈り場として関わってきたことから始まり,現在,保全活動として関わってきている現状まで説明していただきました。その後,野外に出かけ,保全活動の1つの実例として,実際にセンター周辺から車山にあるシカ柵(人間と自然とのかかわりで様々な問題がある柵)を見て回り,実物を前にして,複雑な現状をお話しいただきました。
 2日目の夜のミーティングは,霧ケ峰でのフィールドワークを振り返りました。特に,最終的にまとめる予定の霧ケ峰班が中心となり発表が行われました。見られた植物の写真をパソコンのスライドにまとめ,説明した後,自然と人間の関わりの1つの例として,シカ柵や自然と人間の関係について考える意見がたくさん出ました。

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天候の回復を待ち,植物の分類を復習しました。

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 第二回数学科リレー講座「ガロア生誕200年記念講習会」第二日目

今日は小澤先生がご登場(写真1)。集合記号の用い方から始まり、群の定義にまでおよぶ、実に多岐にわたる内容を扱われました。
消化不良になることが懸念される向きもあるやに思われますが、そこは小澤先生。先生一流のユーモアあるお話、効果的な具体例の提示などで、生徒たちは楽しく授業を受けていました。群の作用の計算演習では、黙々と取り組んでいました(写真2)。演習問題解説の際、ややもすると抽象的に思われかねない群の説明を、親しみやすいものにすべく、ご自著のトレードマークともいうべき「クマ」(写真3)を動かしてお話され、受講者は楽しみながら、群の定義を吸収できたと思われます。明日は、群のうち、とりわけ、対称群について扱われる予定です。

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(写真1)小澤先生

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(写真2)群論の作用の演習

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 理科・SPP講座「霧ケ峰・諏訪湖のフィールドワーク」1日目

 今日(22日)からSPP講座が始まりました。朝,学校を出発し,昼過ぎに八島湿原に到着。霧が濃かったため,バス内で昼食を取り,八島ビジターセンターの展示物を見学しました。13時からは予定通り,八島ビジターセンターの職員の方3名に,ガイドウォークをしていただきました。3班に分かれ,湿原を一周し,湿原や植物についての話,湿原と人とのかかわりなどの話を実物の前で聞きながら歩きました。
 食事と入浴後,一日の内容を振り帰かえるため,自分が印象に残ったことを中心に,全員が集合し,意見交換を行いました。それぞれが感じたことを共有することで,良い振り返りになったのではないでしょうか。


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八島湿原ガイドウォークの様子1


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 第二回数学科リレー講座「ガロア生誕200年記念講習会」第一日目

今日から土曜日までの6日間、「ガロア理論」の概要を理解・納得しようという目論見の本講座が開始されました。
 毎回のリポートをわたくし編集子M(5日目に登場します)がお届け致します。よろしくお付き合いくださいませ。
 初日は平山教頭先生が担当されました。先生が作成されたオリジナルテキスト(写真1)をもと、パワーポイントを利用した講義は、最初の50分でガロアの生きた時代と、彼の生涯の解説が、その後の30分で明日以降の講義の予告を兼ねたガロア理論の概説が、それぞれなされました(写真2)。生徒は熱心に平山先生の話に耳を傾けていました。中には意欲的な中1の姿もあり(写真3)、頼もしい限りです。

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(写真1)

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(写真2)

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 古典芸能部 夏の活動報告その3

1、まずは前回ご報告した内容のうち、ムーラン班の取材中、女優「滝輝江」さんからもたらされました“ムーランルージュが本校で公演した”記憶がおありとの件についてご報告致します。
なにぶん、実に60年以上前のことゆえ、滝さん以外のムーラン関係者が覚えていらっしゃらないのもやむを得ないところですが、かくしゃくとされた滝さんのお話から、班員と編集子は公演が事実であることを確信。本校資料室にて調査に入りました。
しかし、膨大な資料を繰ってみてもその事実を記したものはなく、途方に暮れておりました。
そんな中、昭和21年発行の海城新聞に、執筆者(当時の生徒)のお一人である沖為雄氏のお名前を発見。
かつて同窓会新聞「海原」の編集のお手伝いをした経験のある編集子は、そこでの作業にて、同氏のご盛名を存じあげていたため、ご連絡いたしました。
果たして、沖氏から「確かにムーラン公演はありました。私は観劇しています。それは事実です」というご証言を得ました。
興奮歓喜しつつ、公演時期をお伺いしたところ、「それは覚えていないのです。ただ、暑からず寒からずといった季節でした」とのお話。かてて加えて、偶然にも過日、海城の後輩とその話になりましたよ、とのお話。その後輩氏のお名前をお聞きしたところ、平素より本学へ大変なご尽力を頂いております石川達也氏とのことで、
早速、石川氏へご連絡いたしましたところ、「それは昭和21年です。明日待子さんも来られましたよ」とのこと。
実際、明日さんは22年にはムーランを退団され、映画に転出されているので、21年であることまでは判明しました。
何月でしょうか?との問いに、石川氏は、「残念ながらそこまでは覚えていません」とのことでしたが、沖氏のご証言「暑からず寒からずの時期では?」とお尋ねすると
「となると、春か秋ですね。あっ、そうだ。私達が、ベニスの商人をやったときだ。そうです、そのときです」と想起されました。
「ただ、そのベニスの商人をいつやったかは覚えがないのです」とのお答えでした。
「ムーランが海城に来るというので、それはそれは大変な反響でしてね。空襲で講堂が焼失していたために机で舞台を組んでいました。
私は舞台のそばで観劇していたのですが、役者さんたちは踊りにくそうでしたね」との貴重なご証言も飛び出しました。
「終戦後とはいえ、まだまだ硬派な気質の残る先生もおりましてね。日高先生という教練の先生が、(ムーラン公演を)苦虫を潰したような顔で、腕組みしながら見ていたのが印象に残っています」と続けられました。
時代の証言とはまさにこのことと感じいり、沖、石川両氏に深く感謝しつつ、再び資料室へ戻り探索したところ、幸いにもベニスの商人の公演記録を発見。
それによれば、昭和21年11月1日で、この日は開校記念日。
開校55周年を記念して、「芸能祭」との名称で、戦後初の文化祭が行われ、演劇部が「ベニスの商人」と「父帰る」を公演していることが分かりました。
なるほど、暑からず寒からずの時期に合致してもおり、ゆえに、本校でのムーラン公演は昭和21年11月1日と判明した次第です。
これを滝さんにご報告すると、
「よく日にちまで分かりましたね。私が正式入団して1ヶ月しか経っていない時だったのですね。お役に立ててよかったです。海城学園という名前はとても印象的でしたから覚えていたんです」との感想でした。
映画監督田中重幸氏は、「終戦後間もないこの段階で、ベニスの商人を公演する海城魂に感嘆」され、続けて「沖、石川両氏のご証言はまさにドキュメントである」との感想を述べられました。
それにつけても、記録を書き付けておくことの大切さを実感した次第です。
ところで、「ムーラン招聘は一体誰がしたのか?」についてはいかな沖、石川両氏を以てしても判明しておりません。
これは探求に値するテーマでありましょう。班員と編集子の調査は続きます。ご存知の方はご一報願えれば幸甚です。

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(写真は昭和21年11月の芸能際での「ベニスの商人」の公演予定を報じる海城新聞)

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(ムーラン時の滝輝江さん)

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 理科・2011年度SPP講座「霧ケ峰・諏訪湖のフィールドワーク」

 今年度,理科では,霧ケ峰・諏訪湖において,生物部・地学部の生徒が中心となり,SPP野外実習を行います。SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)とは,大学や博物館等と連携し,児童生徒の科学技術,理科・数学に対する興味・関心と知的探究心等の育成を図る講座の企画を,科学技術振興機構(JST)が募集しているものです(http://spp.jst.go.jp/index.html)。今年度,本校のこの試みが採択されました。
 この実習の目的は,諏訪湖周辺の湿原や湖沼・河川での生物学・地球科学に関するフィールドワークを行い,その自然環境を総合的に捉えること,その中で,生の自然を楽しみ,その自然から科学的な現象を探る方法論や見方,人間生活との関係を学ぶことです。実習に際しては,信州大学信州大学山地水環境教育センター,長野県立霧ケ峰自然保護センター,下諏訪町立八島ビジターセンターの職員の方々にご協力をいただき,講義や調査,巡検などの指導をしていただいています。
 すでに試みは始まっていて,7月28日(木)に,まず第一回の事前指導が行われました。本校の生物科の教員より,本実習の目的やねらい,霧ケ峰および諏訪湖に関する概要に関する話を行った後,生徒それぞれの興味や関心に合わせ,班分けを行いました。
 次回は,8月19日(日)に第2回事前指導が行われ,いよいよ本実習が8月22〜25日となります。また,報告したいと思います。

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今回のフィールドとなる霧ケ峰・諏訪湖のパノラマ写真。左の気の少ない部分が霧ケ峰の八島湿原,右奥の盆地(やや遠いので小さい)になっている部分が諏訪湖です。これらの地域は同じ流域で,互いに関係性を持っており,今回そういうことも感じてほしいです。

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 筑付&海城化学部交流会

8月9日(火)、化学部は筑波大学付属高等学校化学部のみなさんと交流会を行いました。
交流会では、筑付のみなさんが行っている実験を見せて頂き、また、普段我々が行っている実験を披露した後、実験のことや普段の活動のことについて語り合いました。
学校の枠を超えて、活発なディスカッションをすることにより、普段の活動への新たな視点や刺激を得ることができました。

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 高校イギリス研修14・15日目

8月3日
最後の日の朝は早朝ながら、ファミリーは家族総出で送迎と見送りをしてくれ、出発の時刻までしばし、別れを惜しむシーンが見られました。小さな子供たちも、眠い目をこすり、着の身着のまま?で駆けつけてくれたのが印象的でした。
この後バスは一路ロンドンに向かい、昼過ぎの便で成田へ飛びます。11時間程度の所要時間にもかかわらず、昼に出て朝に着くという不思議な旅です。


8月4日
ほぼ予定通り、朝9時過ぎに成田空港に到着しました。校長、学年主任、および国際交流委員会の諸先生、そして大勢のお母様方、お出迎えありがとうございました。
次はすぐに部活の合宿に向かうという生徒もいて、感心させられます。この原稿が載る頃には、新しい活動の真最中かと思います。
執筆子はすっかりへばってしまい、最後の報告がたいへん遅くなったことをお詫び申し上げます。もしかしたら、同じようにしばしの休養を必要とした生徒諸君もいたかもしれませんが、どうか十分に休んでまた元気な姿を見せてください。
(引率教員)
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 古典芸能部「ムーラン班活動(続報)」

8月1日付の記事でお知らせ致しました“古典芸能部・夏の活動報告”のうち、「ムーランルージュ研究班」の取り組みが、2回に渡りNHK首都圏ネットワークで放映される予定です(詳細はトップページをご参照ください)。
今回はそのために行われたムーラン関係者への取材をご紹介致します。
いずれも映画「ムーランルージュの青春」を監督された田中重幸氏のご尽力で実現したものです。田中監督、有難うございます。


1. 8月3日には女優の「大空千尋」さんにお話を伺いました。ムーランルージュへの入団が昭和14年春という大空さん。戦前のムーランルージュを語ることのできる数少ない貴重な女優さんでいらっしゃいます。
部員の質問に的確かつ、即座にお答え頂き、一同大感激いたしました。
なによりも驚愕させられたことは、大空さんが、今もって「スタアの輝き」に溢れておられ、お答え頂く際の美しい日本語、上品な物腰等々、その佇まいに憧憬の念を持ちました。
ムーラン解散後には主演映画もおありの大空さん。なればこそ、この彩光にも納得といったところです。
「私にとってのムーランは、お金がなくても楽しい、そして志のある青春でした」と語る大空さんの言葉に感涙する部員もおり、「本物」がもつ説得力といったものを感じました。

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大空千尋さんとともに

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 理科・地学部:筑波学院大学・講義「情報の活用と整理」,地質標本館見学

 8月6日(土),地学部は,茨城県つくば市へ出かけ,地質標本館の見学(午前),筑波学院大学において情報に関する講義(午後)を行いました。
 今日の目的は,情報に関する授業です。地学部の活動にも情報の活用があると良いことが増えてきています。例えば,野外に出かけたことを文化祭で発表したり,普段の研究を充実させたり,活動内容を簡単な資料にして色々な人に配布したりします。そこで,筑波学院大学 経営情報学部の松岡東香先生に,地学部で使える情報活用や統計処理に関する講義・実習をお願いしました。
 今日は,導入として,「情報の活用と整理」について話を伺いました。松岡先生は,地学の研究者でもあり,情報の活用と整理をはじめ,卒業後の進路や研究の世界の話,日常生活の話などもあり,多方面の話を聞くことができました。これらは地学部の活動や学校生活にも役立つ話でした。
 また,つくば市までせっかく出かけたので,午前中は地質標本館を見学しました。ここは,ついでというには失礼な場所ですが,第一級の岩石や鉱物など,地質に関する様々な資料や様々な情報があります。有意義な一日になったでしょうか。

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筑波学院大学での講義「情報の整理と活用」の様子。整理と整頓の違い,活用するための取捨選択など,情報=パソコンでないことがわかったのではないでしょうか。パソコンは有用な道具の1つであり,使う人間側の考え方が大切だと感じました。

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 高校イギリス研修13日目

8月2日(その1)
カレッジでの最終日を迎えました。午後に各人のプレゼンテーションとお別れパーティーがあります。午前中は通常授業で、最後の仕上げということで、各部屋で原稿を読む練習をしたり、気勢を上げるかけ声(英語で)を出したりするのが聞こえてきました。
午後3時半に招待したホストファミリーを迎え入れ、各部屋で10名ずつ、ひとり5分程度の持ち時間で発表を行いました。発表前の順番待ちでは、みんなかなりナーバスになっていたようですが、本番はなかなか堂に入ったもので、ジョークやジェスチャー、聴衆とのやりとりを巧みに織り込むなど、まさにプレゼンテーションに必要な工夫として練習してきたことがらの集大成がみられました。
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 高校イギリス研修12日目

8月1日(その1)
イギリス南西部のバースという町に行ってきました。ロンドンに次いで2度目の小旅行です。最初に、Roman Bath Museumというローマ時代の遺跡を全員で見学しました。写真2枚目の諸君が上から覗き込んでいるのは、3枚目に載せた大浴場跡です。いまだにお湯が湧き続けていますが、入浴はできません。生徒たちが耳に当てているのは、携帯電話ではなくて、さまざまな言語で用意されている音声ガイドです。古代ローマ人がいかに風呂好きだったかについては、『テルマエ・ロマエ』という傑作コミックをぜひご覧ください。
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 ゴーヤの収穫

今朝登校しましたら、職員本部室のテーブルの上に収穫されたゴーヤが並んでいて、添え書きが一枚置かれていました。宮沢賢治のあの羅須地人協会の黒板を思わせる風情でしばしほのぼのとした気分になりました。   (教頭 中田大成)
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 高校イギリス研修10・11日目

7月30日
今日も朝からlovelyな天気です。午前中は通常授業、午後はホストファミリーとスポーツ交流でfootballをしました。看板を生徒たちが作り、ホストファミリーを広〜いグラウンドに招待しました。国籍・年齢を問わず、6,7人で1チームを作り、Arsenal, Aston Villa, Chelsea, Hereford, Liverpool, Manchester United, Newcastle, Dads’ United(Over 30)の8チームに分かれました。4試合同時展開で、10分ハーフの試合を各チーム3試合行いました。休憩中はホストファミリーのところで休んだり、積極的に別のファミリーに話しかけたりしている生徒もいました。この研修でたくましくなりましたね。
さて、試合はというと、総得点で順位が出て、1位と2位が決勝戦を行うというルールでした。決勝はArsenalとManchester Unitedに決まりました。実はDads’ Unitedが意外に健闘し、順位では決勝に残れるはずでしたが、故障者続出で棄権しました。(1人元気なJapanese dadはくやしがっていました。)優勝はManchester Unitedに決まりました。準優勝のArsenalも応援のみんなもホストファミリーも楽しい1日を過ごせました。

7月31日
 本日は終日ホストファミリーと過ごしました。音楽コンサートに出かけた家族、Harry Potterの撮影が行われた場所に出かけた家族、steam engineを見に行った家族、夜9時からAvatarを見始めた家族など、この日もlovelyに過ごせたようです。

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 古典芸能部 夏の活動報告

★下記に記されている古典芸能部による、映画監督田中重幸氏を迎えての「ムーラン勉強会」の様子が、8月10日(水)午後6時10分からの「NHK・首都圏ネットワーク」で放映される予定です。
(教頭 中田大成)


1.古典芸能部は5年前に、現高3生有志の発案により創設され、同好会として発足しました。
創設メンバーの在校中になんとかして、部誌の創刊を、と考えてまいりました。
この度、漸く発刊にこぎつけることができました。部誌名は「河童狸」。
これは同名の落語に因んで、現中学部長が命名したものです。写真の、創刊号表紙にある水墨画も同部長筆です。
創刊号は、寄席や狂言の鑑賞記、作家班による自作コント集、部員紹介など全90頁余からなります。
不定期刊にはなりますが、一号でも長く続けたく思っております。
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<河童狸創刊号>

2.その漸く部誌の発刊にこぎつけた我々が仰ぎ見るのが、我が国唯一の月間演芸誌である「東京かわら版」です。
同誌は昭和49年の創刊で、演芸ファンの道標として絶大な支持を得ています。
我々の創刊号を送らせて頂き、第2号の誌面を充実させるべく、築地にある同編集部への取材をお願いしたところご快諾頂き、7月29日にお伺いしました。
ご多忙にも関わらず、一時間半に渡り取材をお受け頂き、一同感激いたしました。
編集部の皆様、本当に有難うございます。大変に勉強になりました。

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