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 古典芸能部「ムーラン班活動(続報)」

8月1日付の記事でお知らせ致しました“古典芸能部・夏の活動報告”のうち、「ムーランルージュ研究班」の取り組みが、2回に渡りNHK首都圏ネットワークで放映される予定です(詳細はトップページをご参照ください)。
今回はそのために行われたムーラン関係者への取材をご紹介致します。
いずれも映画「ムーランルージュの青春」を監督された田中重幸氏のご尽力で実現したものです。田中監督、有難うございます。


1. 8月3日には女優の「大空千尋」さんにお話を伺いました。ムーランルージュへの入団が昭和14年春という大空さん。戦前のムーランルージュを語ることのできる数少ない貴重な女優さんでいらっしゃいます。
部員の質問に的確かつ、即座にお答え頂き、一同大感激いたしました。
なによりも驚愕させられたことは、大空さんが、今もって「スタアの輝き」に溢れておられ、お答え頂く際の美しい日本語、上品な物腰等々、その佇まいに憧憬の念を持ちました。
ムーラン解散後には主演映画もおありの大空さん。なればこそ、この彩光にも納得といったところです。
「私にとってのムーランは、お金がなくても楽しい、そして志のある青春でした」と語る大空さんの言葉に感涙する部員もおり、「本物」がもつ説得力といったものを感じました。

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大空千尋さんとともに


2. 8月6日には午前中、まずは戦後のムーランルージュに入団された女優の「滝輝江」さんと、その時期にムーランルージュ新宿座の支配人をされていた鈴木氏のご子息である「鈴木冨士男」氏にお話を伺いました。
まず、一同の耳目を集めたのは滝さんのお話。曰く、「これは私しか覚えていないことのようなのですが昭和21年か22年に、海城学園へムーランの一座全員が公演に伺っているはずです。明日待子さん(ムーランの大スタア)もいらっしゃったはずですよ。学校で公演したのは(私は)ここだけなので印象深いのです」とのこと。
これには本校とムーランとの不思議な縁を感じずにはおれませんでした。本校資料室にて、詳細の調査に入ります。続報にご期待ください。
その滝さん、取材者である中3生からの今日的な話題にも積極的にお答え頂き、図らずも両者ともに「年齢差を感じなかった」との感想がもたらされました。
劇作家の宇野信夫先生の言われる「意欲あるものにとって、年齢は単なる習慣でしかない」を、如実に滝さんに拝見した思いが致します。
鈴木冨士男氏には当時の興行に関する貴重なお話を伺い、戦前に比べて、情報が多いとは言えない戦後のムーランの一端を垣間見ることができました。
殊に、戦前、主に浪曲の興行を手掛けておられた氏のお父上が、ムーランに憧れをもっており、戦後にそれを実現させたお話には人生の妙味を感じました。
また、お父上のご交遊は広範囲に渡り、とりわけムーランのテーマソングの作詞を手掛けた作家のサトウハチロー氏とは朋友の間柄だったそうです。
途中から女優の「小峰葉子」さんにもご参加頂きました。小峰さんも戦後のご入団で、滝さんよりも幾分早く入られたそうです。
当時の舞台でのエピソードを、身振り手振りを交えつつ、あたかも昨日のようにお話頂きました。また、持参された当時の貴重な写真をひとつひとつ丁寧にご説明いただき、一同、戦後ムーランの舞台に思いを馳せることができました。

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滝輝江さん、小峰葉子さん、鈴木冨士男氏とともに


3.同日の午後は、「大都映画とムーランは自分の血であり肉なのです」と仰る作家の本庄慧一郎氏をご自宅に訪ねました。
ムーランの大作家であった小沢不二夫氏を叔父にもつ本庄氏には、浅草における軽演劇と新宿ムーランのそれとの相違点について様々な角度からご解説を頂きました。
また、放送作家としてもご活躍された氏ならではの、テレビ草創期に果たしたムーランの役割についてのご解説には唸らされました。
「バラエティとアイドルの元祖」と称されるムーランと現代メディアのつながりに興味をもつ生徒は、氏のご見解を聞き漏らすまいと真剣にメモをとっていたのが印象的でした。
氏は現代に生きる中高生が、古典芸能に興味をもち活動していることを激賞してくださり、一同恐縮しきりでした。
「温故は大変に結構。そして、それをネクストにつなげよ」との氏のメッセージに、大変な感銘を受けました。

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本庄慧一郎氏とともに


こうした取材を経て、班員各自のムーラン観が芽生えつつあり、いよいよ楽しみになってまいりました。次回は20日前後に取材が予定されています。
(古典芸能部顧問)

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