校長のメッセージ

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和田 征士

平成17年11月7日

《 高1キャリアガイダンス 》
専門家による講演 レスキューロボット 神戸からの発信

 本校学習指導部主催による生徒が将来の「職業を選択」する上で、参考にするため、専門家をお招きして直接お話を聴く機会がありました。
  学習指導部では計画的に幾つかのジャンルの方をお招きして講演会を開いています。今回もその一環として神戸大学 機械工学科の大須賀公一先生をお招きしました。学習指導部は、今回のように大学の先生にお願いする機会を幾つか設定することの他に、いろんな分野で活躍する卒業生をお招きする、また、受験勉強の取り組み方の最近の事情を聴く機会、或いは、先日実施したような形で、保護者の中で実際の経験からいくつもの分野の職業としてみた場合におけるその分野の特長を話して頂くなど多様な取り組みを展開しています。
  今回の講演会はその一環としての取り組みです。去る10月31日(土)午後、講演が行われました。

何故神戸からか
高1生は、中学修学旅行で、関西に行きました。その折り、神戸にも行き阪神淡路震災の様子を聞き、復興の様子を見、震災の様子について学習しています。その延長線上で、災害ロボットの研究を続けておられる大須賀先生に、研究の成果を聴き、災害の際にロボットを活用する可能性がどの辺まで進んでいるのか、お聴きするという構想で取り組んだと聞いています。
  大須賀先生は、関東へ出向かれて話をなさるのは初めてのことといっておられました。
  ロボットについては、今夏、愛知万博で大人気を博した音楽演奏ロボットも話題になりました。ロボットの面では、予想以上に発展の可能性がありそうです。
  なお、神戸大学のホームページにも関連の記事が載っていました。
  以下に、事前に生徒に配った案内文を載せ、講演を聴いた後の生徒の簡単な作文を掲載します。

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高校1年生対象講演会

神戸からの発信!
災害現場から人命を救いたい! 
   レスキューロボットのはなし:動機・現状・将来

日 時:10月29日(土)13:30〜
場 所:講 堂

講演者:大須賀公一 氏
      神戸大学 機械工学科 教授

 阪神淡路大震災を契機にレスキューロボットの研究が開始されました。最も大きな動きは、2002年から5ヶ年計画で始まった文部科学省の「大都市大震災軽減化特別プロジェクト(大大特)」です。同時に、「レスキュー工学」という研究分野が認識されるようになってきました。その意味では、この10年は新しい分野を確立するための準備期間だったとも言えます。本講では、「大大特」を軸に、レスキューロボットの研究動向と成果、そして今後の展開について考察します。

略 歴:
1984年 3月 大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程修了(制御工学)
1989年 2月 工学博士

1984年 4月 東芝入社、総合研究所入所
1990年10月 大阪府立大学工学部講師
1992年 4月 大阪府立大学工学部助教授
1998年 5月 京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻助 教授
2003年12月 神戸大学工学部機械工学科教授

研究活動(主要研究テーマと受賞):
  ○先端制御理論・応用   ○非線形力学とカオスと制御
  ○ロボティクス      ○メカニカルアナリシス&シンセシス
  計測自動制御学会学術奨励賞(「非線形メカニカルシステムの適応制御」1986年),システム制御情報学会椹木記念賞奨励賞(「仮想パラメーターを用いた逆動力学問題の高速解法」1988年),計測自動制御学会論文賞(「非線形メカニカルシステムの適応制御」1988年),計測自動制御学会教育貢献賞(「レスキューロボットコンテストの実施等に対して」2002年)。

担当授業科目:
  機構学,制御工学,機械設計及び演習U,アドバンスト制御システム論

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講演後の生徒感想文

 理系分野の話題であったが、広く人々の理解を要する分野だということで、文系を志望する私にも関連性のある話として聴くことができ、有意義だった。
  レスキューロボットを研究する人数が足りないという問題について、講演を聴くまでは自分自身もレスキュー工学の存在を全く知らなかったので、広報を強化するなどの方法で、多くの世代に伝えていくことの重要性を実感した。来る地震に備えて、防災の意識を高めていたが、災害が来た後の対応についても考える場を提供してくれた講演であった。   (4−1太田)

 最近は、理系というと生物や医学というイメージが強かったので、それ以外にも社会貢献できる分野があるということに改めて気付いて感動した。話の内容に関しては、以前から災害(特に地震)に興味があったので、レスキューロボットの研究が進んで実用化すれば、より効率よく人命救助ができると思った。話の構成やスクリーンの映像も、よく出来ていたし、初めて見るものばかりだったので、とても面白かった。 (4−1大庭)

 レスキュー工学という学問の名前を初めて聞きました。理系にも様々な分野があることを知ってはいましたが、具体的にはよく分からなかったので、良い機会でした。レスキュー工学として成り立たせるまでに、何回も中央省庁に意見書を提出してきたことに、熱意を感じました。それとともに、一人ではどうすることもできないということも強く心に残りました。大勢の人々の協力を得ることに、とても苦労しただろうなと思いました。 (4−2石井)

 各所でコンピュータによる映像を見ることができたので、大須賀先生の話について行きやすく、理解しやすかった。レスキューロボットの現場への導入はまだまだ先かなという思いはあるが、ロボットの問題点や資金面の問題、そして国民のレスキューロボットへの関心の向上などの課題に対して、緻密な計画をもっておられる先生の話を聴いていると、そんなに先ではないかなという気持ちになりました。
(4−2弥益)

 コンピュータで写真や映像を見せてくれたので、分かりやすく、すんなりと話を頭に入れることができた。自分たちでやりたいことを、今ある学問ではできないから、新しく「レスキュー工学」という学問をつくったという話を聴いて、行動的でスケールが大きいと思った。自分は文系に進むので、工学系の職に就くことは無いと思うが、理系もいいなと思える講演だった。 (4−2高野)

 今までの「ロボット」のイメージを一新させられた講演だった。前にNHKなどでロボコンの大会を見たことがあったし、アイボのようなロボットも目にしていたので、現代のロボットはそういうのが一般的なものかと思っていたけれど、レスキューロボットの存在を知り、とても驚いた。これからレスキューロボットの開発が進み、災害時に役に立てばいいと思う。 (4−3高橋)

 とてもよかったと思う。僕は、地震のレスキューに関しては、特に興味はなかったが、ロボットの分野には興味をもっていたので、とても楽しく聴くことができた。 講演の内容については、なんか次世代的なものを感じた。しかし、商品化するにはやや厳しいのではないかと思った。いつか現場でロボットが活躍していることを期待している。
(4−5小林)

 映像でレスキューロボットの動作を見られて良かった。ロボット工学には昔から興味があったが、日本でも本格的にレスキューロボットが造られていることは初めて知った。工学の「工」の字についての説明が面白いなと思った。強いて言えば、文字が小さいところがあって見にくかった。 (4−5森田)

 初めと終わりをプロジェクトXの形にすることや、音楽やコンピュータの映像を利用することによって、聞く側の興味を引きつけているところが巧いと思った。今回の講演は自分の興味ある分野とは関わりがなかったが、講演を聴くことで自分の世界が広がったように感じられてよかった。 (4−6荒金)

 レスキュー工学という分野については今まで知らなかったが、災害時の救助活動の効率を上げ、少しでも早く生存者を見つけ出そうとするこの分野は、大変画期的なものだと思った。新しい分野を開拓していく先生方の取り組みに感動した。 (4−8田村)