《 高校総合講座 》  
 本校で実施している課外講習「高校総合講座」について、「毎日新聞 東京版」に下記のような記事が掲載されました。高校総合講座に毎日新聞の編集委員であられる津武欣也氏が来て頂いて、講演とその後の質疑に応じて頂きました。その概要が記事になったものです。(資料3) 
  記事を読んで頂くだけでは本校の総合講座と記事との関連がはっきりしませんので、少し説明いたします。 
  本欄「校長のメッセージ60」号に、「一学期講習開始」という記事を載せました。4月18日から一学期の講習が開始されました。講習は通常授業の6時限目が終わった後、15時25分から16時45分まで、80分の授業です。校長のメッセージ60号の添付ファイルに載っていますように、該当学年を指定した総授業科目数40科目を超える講座数があります。6月第3週まで中間考査の時期を除いて7〜8回になります。生徒は受講したい講習があったら、選んで申し込みます。1週間フルに選択しようと思えば、4講座選択できることになります。或いは部活動を優先したいから選択しないとか、その曜日は部活動の予定が入っていないから選択するとか、それは生徒の自由意志になっています。 
  この「17年度第1学期講習予定表」(資料1)の中に、「高校総合講座」があります。講習名は「マクドナルドを食べ続けると……〜映画『スーパーサイズ・ミー』考〜」です。 
  講師名の欄に5名の先生方の名前が記入されています。この講習は5名が担当しますと言うことで、「総合講座」の一つの特徴になっています。この5名の先生方の担当教科は理科・英語・社会・国語等で多くの教科にわたっています。講習のテーマに対して多くの教科の先生の専門の視点で話題を提供し、検討を加え、議論することで認識の深化をはかりたいと言うことを狙っています。 
  今年の一学期のテーマの内容について、別紙で説明文があります。講習予定表と共に配布された説明文も参考として下に載せます。 
 2つ目の文書(資料2)は、高校特別講座の締めくくりに当たる講座として6月25日を予定し、1学期間講座を受講してきた生徒以外の生徒にも呼びかける文書を担当者が作り、「公開講座『スローフード・スローライフ運動』」として企画された文書が配布されました。それは特別企画と位置づけ、外部から講師として毎日新聞社から津武氏を招き開催しました。 
 以下は高校総合講座について、4月初めに生徒に配布したプリントです。 
  
 「高校総合講座」(資料1) 
  マクドナルドを食べ続けると… 〜映画『スーパーサイズ・ミー』考〜 
◇対象学年  高校1年、2年、3年 
◇担当者   石塚・桑名(理科)、内田(英語)、林(社会)、村上慎(国語) 
                <略> 
◇テーマ設定について 
 アメリカで肥満の姉妹がマクドナルドを訴えた事件で、マクドナルドのスポークスマンは「マックと肥満の因果関係はない。マックの食品は非常に栄養価も高く、ヘルシ一です。」と答えたという。これを見たスパーロック監督は、それならば自ら30日間マックのみを食べ続けて、本当に身体に害がないのか検証するという恐るべき「人体実験」の映画化を考えた。 
  さて30日後、スパーロックの身体はどうなったのか、マクドナルドはどうなったのか‥ 
  私たちが口にする食品は自分の「健康」と大きく関わっているのに、その素性(どこで、誰が、どのように作っているのか?)にはあまり関心が置かれてこなかった。自分自身の「健康」・「不健康」が、他者が作る食品に依るところが大きいにも関わらず・・・・ 
  また、映画『スーパーサイズ・ミ−』は、日本のTVではその映画・上映情報がほとんど流されることなく黙殺された。また新聞でもマクドナルドの実名入りで紹介されることは少なかった。マクドナルドの広告収入を意識しているのだろう。すると、私たちの「理解」や「判断」に必要な情報もメディアによって「自粛」・「制限」されているかもしれない。 
  この映画は、私たちが生物学的存在として、社会的存在として健やかに生きるにはどうすればよいのか、を考えさせる機会を与えています。学年の枠にとらわれず、他学年の生徒諸君や私たち教員と一緒に学び、考えていきましょう。 
 昨年は、「ドーピングの真実」というテーマで日本アンチドーピング機構事務局長 塚越克巳氏を招いて、活発な議論が交わされました。これまで、弁護士、新聞記者、研究者、企業人など多様な職種の方をお招きしてきました。 
  
 高校総合講座〜2005年1学期特別企画〜 
 
 「高校総合講座」の「特別企画・公開講座」のお知らせです。そのプリントを掲載します。(6月初めころ発行) 
 
 2005年度特別企画(資料2) 
     高校総合講座 (担当教諭:石塚・内田・桑名・林・村上慎) 
    1学期テーマ:マクドナルドを食べ続けると・・・ 
                  −映画『Supersize Me』考− 
 公開講座:「スローフ−ド・スローライフ運動」 
   日時 6月27日(月)13:30〜15:00 
    場所 視聴覚室(1号館3F) 
    スペシャルゲスト 津武 欣也氏   (毎日新聞編集委員) 
 今学期の高校総合講座では、映画『Supersize Me』で取り上げられたマクドナルド、その他のファストフードが現代社会や私たちにもたらす功罪を検討し、私たちの食生活と生き方をどのようにすべきなのか、考えてきました。 
  映画『Supersize Me』は、アメリカで少女・少年(と保護者)が「自分たちの肥満の原因は、「ヘルシー」な食事と言ってきたマクドナルド製品を食べ続けたせいである」とマクドナルドを相手取り集団訴訟を起こし、それがきっかけで企画されたものです。その裁判で、裁判所は、「マクドナルド製品を日常的に食べ続けた結果として、中毒症状が現れ、肥満などに至るのかどうか、因果関係を証明せよ」と、原告の少女・少年たちに科学的証明を求めました。その結果、少女・少年たちは科学的に証明できないまま、裁判所から訴えを棄却されてしまいました。 
  そこで、映画監督モーガン・スパーロックが自らの体を使って、1か月間にわたって毎日3食すべてマクドナルド製品を食べ続け(店員からドリンクやポテトの「Supersize」を勧められた場合には、必ずそれを注文することにし)た結果、自分の健康状態がどのように変化するのか、「因果関係を証明」しようとしたのです。その経過を描いた映画が、『Supersize
Me』という作品なのです。 
  しかし、日本では、マスコミがあまり取り上げなかったため、上映現場でも観客の動員が伸びず、反響もほとんど表に出ないまま上映が打ち切られてしまいました。 
  ファストフードは、「早さ」「安さ」「おいしさ」を「売り」にして、家庭外で働く女性の食事づくりを軽減したり、少ない支出で家族で外食を楽しむことができるなど、現代社会の必要に対応しつつ成長してきました。その一方で、ファストフードは、「安さ」ゆえの過剰摂取により、人体に疾患や健康被害を与え、社会に環境破壊をもたらし、ファストフード業界で働く人々に過酷な労働環境を強いるなど、問題点も決して少なくありません。その中で、ファストフードやそれに関するライフスタイルを批判する「スローフ−ド」・「スローライフ」の運動が提唱され、実践されてきています。 
  今回は、日本各地で「スローフード」や「スローライフ」を実践したり、提言する人々を取材されてこれらた毎日新聞社東京本社の生活家庭部の編集委員であられる津武欣也氏をお呼びして、「スローフード・スローライフ運動」の現状と課題についてお話しして頂きます。 
  その後、生徒諸君からの質問や意見にもお答え頂くことにしており、それらを通じて私たちが自分たちの食生活、そして生き方について認識を深めていければと考えています。 
 ★ 貴重な機会ですので、総合講座の公開講座としました。総合講座を受講していない生徒諸君の参加を歓迎しますので、興味のある生徒はぜひ参加して下さい。また、自由に質問・発言して下さい。 
  
 高校総合講座の記事が毎日新聞で紹介される。(資料3) 
記者と学校交流: 
スローフードテーマに授業−−新宿区・海城学園 /東京 
  新宿区の海城学園(和田征士校長)の高校総合講座で(6月)27日、生活家庭部の津武欣也編集委員が講師を務め、食にかかわる講義とディスカッションが行われた。 
 「食」を基本に据えた「スローフード・スローライフ」がテーマで、津武編集委員は昨年の正月特集紙面などをもとに「スローフードとは食べ物を通じて、自分と社会、家族、自然などとの関係を問い直すこと。食の安全も生産者と消費者の相互理解から生まれる。何を選択するか。生き方の問題なんだ」と話した。 
 生徒からは「生産する、料理するという体験を持たない状況で、食から『生き方』を考えるのは難しい」「大量生産、大量消費の現状と地産地消とをどう整合させるのか」「遺伝子組み換え作物の問題点はどうか」−−など質問が飛び、食事風景の移り変わりを含め、食とライフスタイルについての議論を深めた。(毎日新聞 2005年6月28日) 
 
 以上 
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