校長のメッセージ

45

和田 征士 平成16年8月31日

《 夏休み中の活動 》パート2

今回は、高校生対象のイギリス研修の様子をお知らせします。夏休みに入った翌日の7月21日に出発しました。高校1年生と2年生の29名が参加し、出発の日、成田空港に集合し、出国手続きをして元気に出発しました。引率の先生2名が同行です。過去2年間にわたり、同時多発テロの影響によりこの行事を中断していました。テロの脅威は前に比べて無くなったわけではありませんが、ボディーチェックなど厳しい検査を体験する中での出発でした。
  中断していた2年の間にこのイギリス研修の見直しをして新しい形で行うことにしました。改正した主な内容は、費用を圧縮したこと、前は寄宿舎(ドミトリー)の宿泊していましたが、今回はホームステイに変えました。イギリスの家庭の状況に接することが出来、夜も含めて英語漬けになりますから、この利点を生かす形をとりました。その為、研修地も替わり、サセックス州のバージェス ヒルを中心とする地域で、アーディング カレッジを中心に実施しました。ロンドンから南の方向に約1時間車で行ったあたりです。
  内容的な特色は、ESLによる英会話の授業のほかに、各自がテーマを持ち、最終日に英語のプレゼンテーションを行ったことです。将来の自信に繋がることを狙ったものです。研修地から離れて、ブライトン市と、カンタベリーおよびウインザー城を見学しました。
8月4日予定通り無事成田空港に帰着しました。なお、この研修に関しては、ISAという会社に企画運営を委託しています。

 以下の文は、パート1と同じように参加した生徒の感想文を載せます。

 

海外研修を終えて

5年2組 近藤学仁

 七月二十一日、早朝にもかかわらず校長先生をはじめ多くの方々の見送りをうけ成田空港から出発した。十二時間のフライト中、今回の目標である、「ホストファミリーとうまくコミュニケーションをとる」ことができるか、またホームシックにならないかと少し不安を抱きながらもこれからの二週間の生活をとても楽しみにしていた。
  飛行機を降りると、とても涼しく長時間のフライトの疲れよりも、わくわくしてきた。空港からバスで学校へ向かい初めてホストファミリーと対面した。その後、車で家に向かったが、その間も良く話しかけてくれ、人見知りの激しい僕だったけれどとても助かり、フレンドリーなイメージを持った。いよいよこれから英語漬けの毎日が始まるんだなと思った。
  次の日から学校で授業が始まった。丁寧な英語の話し方、現地の学生との交流、日本ではほとんど見ることが出来ないと思われるウサギの解剖などとても有意義な毎日を過ごすことが出来た。平日五日間は授業、週末二日間はホストファミリーと過ごした。
ホストファミリーと一緒に買い物に行ったり、車掃除、レンガを使ったバーベキューセット作りなどをして過ごした。最後の休日は、学校でロンドン観光の機会を作ってもらい、子供のころロンドンに住んでいた僕は、昔住んでいた家に行くことができた。町の風景は昔とあまり変わらずとても懐かしかった。
  この二週間の感謝を込めてホストファミリーを招待してフェアウェルパーティーが行われた。その一環で各生徒がホームステー期間中に学んだことを発表するプレゼンテーションがあった。僕は、「日本とイギリスの高校生の教育の違い」を七分間のスピーチとして発表した。生まれて初めてのスピーチでしかも英語で発表しなければならなかったためとても緊張しあがってしまった。
  最終日、とうとう帰る日が来てしまった。ホームステー先はとても楽しく二週間はものすごく短く感じたが、お別れを言ってイギリスを後にした。
  この二週間で英語でのコミュニケーションがとれるようになったし、毎日の生活を通して文化、日常生活における風習、英語の色々な言い回しを勉強することも出来た。日本で行う外国人講師による英語合宿などでは味わうことの出来ない貴重な体験をすることができたてよかったと思う。

写真1

イギリス研修で得たこと

4年4組  江面 智明

イギリス研修で得たことは大きい。15日間という短い期間の中で学んだことは、決して多くはないけれども、これから生きていく上で私の大切な財産となることだろう。この研修のことは、一生忘れられない。
  まず肝心の英語力だが、行く前に比べて格段に上がった。朝から晩までずっと英語に接していたので、だんだん自然に聞いたり話したりできるようになってきたし、最後の数日間は英語の夢を見ることができて、とても嬉しかった。日に日に頭が英語に馴染んでいくのが分かった。あと数ヶ月いたら大分違ってただろうなと思う。こうした経験をしてしまうと、週に1回英会話に通うのが物足りなくて、あの15日間がとても惜しく思える。イギリス研修の後、英語の学習に真剣に取り組むようになった。NHKのラジオ講座でリスニングなどをやってみると、手応えが感じられて、もっと自分の能力を伸ばしたくなる。久しぶりに英語で洋画を見てみたら、(アメリカ英語ではあったが)結構聞き取れるようになっていて、びっくりした。話すのは好きだし、英語が好きになるいいきっかけになったと思う。
  英語だけでなく、他にも様々なことを学んだ。その一つに、イギリス人の考え方に触れたり、イギリスと日本を比較したりして、日本を外側から見ることができるようになったことがある。
  例えば、愛国心についてである。プレゼンテーションでは愛国心について発表したのだが、イギリス人は想像以上に愛国心が強かった。イギリスに着いて最初の土曜日に、私のホームステイしていたハソックスという村では、大きなパーティーが開かれた。ステージで古めの曲が演奏され、海城のグラウンドの倍はある公園に、たくさんの人が椅子を持参して座っていた。入るときに、小さなユニオン・ジャックが手渡されるのだが、驚くことに、皆それを熱狂的に振っていたのである。より大きなものを持ってきている人や、シャツの首に挿している人もいて、可笑しかった。日本ではあまりしないことだ。かなり愛国的なパーティーだった。こうしたパーティーは結構開かれるらしく、日本でのお祭りのように、地域の繋がりを楽しんでいるのかもしれない。
  また興味深いことに、イギリスでは「リーダー」の感覚が日本と違う。イギリスでは、女の子でも、野山で、自分たちがあらかじめ決めたコースを何日かかけて回ってくるという課題が出される。こうした場合、日本では、人間的に優れ、あらゆることに精通している人一人がリーダーに求められるが、イギリスでは、その場面において、適当な人が指揮をとる(もちろん信頼性も要求される)。つまり、一つのグループに複数のリーダーがいることもあり得るのである。他の場面においてはどうなるのか分からないけれども、こんな在り方もいいと思った。日本を見つめ直すことができたという意味でも、イギリスに触れたことは、とてもいい経験になったと思う。
  ホストファミリーと過ごしたことは、一生忘れられない。5歳の男の子と3歳の女の子がいたのだが、仲良くなれて本当に嬉しかった。また、同年代の人に会う機会は得られかったのだが、色々な先生と知り合うことができ、様々なことを教えてもらった。知識を積んだだけでなく、人としても成長したと思う。この研修に行かせてくれた親にとても感謝している。またいつかイギリスに行ってみたい。

写真2