校長のメッセージ 35 和田 征士 平成16年 3月5日
《 入試問題に込められたメッセージ 平16年@ 》

 中学校 理科・社会科編

別欄に掲げてありますような日程と経過をへまして、今年度の入学試験を無事終了する事ができました。お陰様で前年度よりは、中学校・高等学校共に応募していただいた数が増加しました。また、発表後の定着率もこれまでよりはよく、受験生の皆様に本校の教育が理解されてこういう結果が出ているものと考え、中身をより一層充実させる必要があると気を引き締めているところであります。
 各教科毎に出題の意図や、教科に関する取り組みの姿勢等について教科の考え方を書いて頂きました。それを直接以下に載せます。入試問題へ全問を載せるのではなく、一部を取り上げています。

【 中学校・理科 】  (著作権の関係で公表できません)
本問題で見たかった点は二つあります。
 1つ目は、理科の各分野の知識や理解をつなげて考えることができるかどうかということです。当然のことですが、理科の各分野は有機的に関連しています。本問題は生物分野からの目のつくりと働きに関する出題ですが、物理分野の「光」の理解が不可欠です。知識は断片化した状態では余り意味はなく、それらを柔軟に活用できるかが重要です。
 もう一つは、生き物のそれぞれの構造(かたち)や働きはそれなりの理由があるということを理解しているかどうかです。目の配置と生活様式の関連は好例です。このような考え方は非常に重要で、常にこのような視点で学ぶと、生物分野はより興味深いものになります。もちろん、海城では入学後も以上の点を重視した授業を展開しています。
【 中学校・社会科 】 (著作権の関係で公表できません)
社会科入学考査問題の出題方針
 本校社会科の授業では、社会的な問題を生徒自身が発見し、調べ、考えていくことを重視しています。そのため、生徒の学習成果は学期ごとのレポートや定期考査での論述問題などで求められることになります。受験生の皆さんが海城中学校に入学された後、そうした学習活動にスムーズに取り組んでいけるよう、入学考査問題は中学校の社会科授業の「予告編」というべきものにしています。入学考査問題の出題方針は以下の通りです。
 @ 論述形式の問題を重視し、各回とも2,3問設定する。
 A 基本的に、論述問題では、自分の意見を自由に書かせる意見陳述の形式はとらず、与えられた問題文や資料を分析してわかることを書かせる資料分析の形式をとる。
 B 小学校教科書の記載事項を前提とし、それ以外の情報は問題文や資料でわかりやすく提供する。
 C 小学校で学習する「公民」・「地理」・「歴史」分野が絡み合った融合問題にする。
 D 毎年、毎回の出題傾向が特定の分野や領域に偏らないように配慮する。

平成16年度の問題について
 以上の方針に基づいて、平成16年度は、第1回で地理分野、第2回で歴史分野を軸に出題しましたが、どちらも従来と同様に幅広い問題関心と深い理解力を問う問題を設定しました。本校社会科のいわゆる過去問では歴史や公民分野を軸にしたものが多かったので、第1回の地理分野を軸にした問題を見て意外に思われる方がいらっしゃったかもしれません。しかし、地域の変化や地図の読み取りなど、地理分野を軸にした問題は過去にも出題しており、出題方針の変更によるものでは全くありません。社会的な問題は分野や領域が密接に絡み合っていますので、今後も公民や地理、歴史のいずれの分野が軸になっても対応できるように幅広い学習を積み重ねていただきたいと思います。

第1回問題の意図と注意点
 第1回問題では、近年急速に広まってきているコミュニティバスの特徴とその問題点について取り上げました。題材として注目した理由は、市町村レベルの自治体が乗合バスを運行すること自体の目新しさ、近年進みつつある公営事業のスリム化・民営化に一見すると逆行するような取り組みであることです。各地で行われているコミュニティバス事業は交通不便地域の解消という点などで成果を挙げていることが、新聞やテレビで報道されています。その意味で、受験生の皆さんにとっては、たとえ地元の自治体で運行していなくても、コミュニティバスについて見聞きする機会は十分にあったと思います。ただ、コミュニティバス事業には、成果だけでなく、さまざまな問題点や限界をかかえていることが問題作成のための聞き取り調査でわかってきました。そこで、第1回問題では、聞き取り調査の内容をまとめた情報を受験生の皆さんに使ってもらいながら、コミュニティバス事業の問題点や限界について考えてもらうことを中心に出題しました。

問6aのねらい
 これは、問6bとともに、第1回の入学考査問題の中核となる論述形式の問題です。本来、民間路線バスが走っていない地域にこそコミュニティバスを走らせる意義があると思われますが、そうした地域では利用者数が少ないために運行されていません。むしろある程度の人口密度があり、民間バス路線もすでに存在するような地域で運行されることが多いのです。限られた予算で公共のためにコミュニティバスをどのように運行したらよいのかという問題は、私たち市民が積極的に考えていかなければならない重要な問題です。

問6bのねらい
 コミュニティバス事業には、自治体の予算を支出するのだから、他の自治体にまで路線を広げるのはおかしいという原則論があります。また、他の自治体との境界近くに住んでいる住民が何よりも便利さを求める要望があります。自治体の原則と住民の要望の対立をどのように解決すればよいのか。問題は、市町村の境界と実際の生活エリアが一致しないことが原因となっていることなのです。こうした自分の身近な問題を発見し、その解決策を考えていく「生きる力」を身につけてほしいというメッセージが込められているのです。

受験生の皆さんへ
 本校社会科では、決まり切った答えを覚えるのではなく、みんなで考え、知恵を出し合って答えを探すような授業を目指しています。そのためには、学習すべき内容を十分に理解もしないまま暗記していく学習態度ではなく、自分の頭に浮かぶさまざまな疑問に対して納得のいくまで自分の頭で考えていく学習態度を日常的に身につけて下さい。受験生の皆さんが本校に入学し、ともに学ぶ日のことを、社会科教員一同楽しみにしています。


以上平成16年の入試問題についての理科と社会科の考え方についてそれぞれの教科の先生の見解をそのまま載せました。