校長のメッセージ  30 和田 征士 平成15年 12月20日
《 2学期末を迎えて 》

 12月8日から11日まで2学期の期末考査が行われました。その後考査の答案を一斉に返す日がありますが、12月22日の終業式に向けて特別活動の期間に入ります。
 学年によっては、この間に、行事があります。
例えば、中学校1年生は、12月15日(月)に四谷区民ホールを利用して、「音楽鑑賞会」を行いました。日本の伝統的な音楽に触れる機会として、重要無形民俗文化財に指定されている江戸里神楽の若山胤雄社中による演奏会が行われました。狂言を彷彿させるような江戸神楽の楽しい台詞回しが受けていました。伝統音楽の体験や、保護者の鑑賞参加もあり、素晴らしい鑑賞会になりました。
 高等学校1年生は、12月18日に「マンマ・ミーア鑑賞会」が、新橋に新しくできました電通四季劇場 海を利用して行われました。保護者の希望者の参加もありました。1999年にイギリスで初演されたこのミュージカルは、歌い、踊り、希望のエネルギーを与えてくれると世界の各地で公演され多くの人を魅了しているものです。

 また、この期間中は、ほとんどのクラブが活動しており、普段の教室における授業とは違った雰囲気で生徒は活発に活動しています。

 冬休みに入りますと、12月25日から29日まで、中学生対象の「スキー教室」が、志賀高原で行われる予定です。参加者は、生徒214名、引率本校教員22名、卒業生の補助8名の応援を得て行われる予定です。
 また、中学3年生は、英語のレッスンを受けることを主な目的として2泊3日の予定で希望者109名が参加して福島県岩瀬郡にある「ブリティッシュ・ヒルズ」で行われる予定です。期間中は日本語を一切使わないという厳しいルールで実施されることのなっています。実施日はは、12月26日から28日と1月4日から6日までと2隊に分散して行われます。
 休業中の二つの行事は、三学期になってからその様子をこの欄で報告する予定にしています。

《 高1生『総合社会』レポート提出 他にないユニークな授業 》

 本校では、高等学校一年生に他の学校にほとんど例がない形式の授業として「総合社会」2単位を実施しています。今年から改訂された新学習指導要領の中に、“総合的な学習の時間”が必修として各学校で取り組むことになりました。学校毎に工夫されていますが、本校でのこの時間のねらいは、この学校に学ぶ人がこれからさらに進むであろう情報化社会の中で、オリジナルな情報を発信できる能力を身につけて卒業していただきたい、それを検討・追究した結果、生み出されたものです。
 この授業の手法は、既に始めてから、12年目に入っております。授業の基本的な考え方は、本欄「校長のメッセージ27」平成15年10月6日付けで述べましたように、中学校で「社会T・U・V」としている内容を高校生向けに発展させたものです。
 基本的な考え方は本欄「27」の後半部分に記入していますのでご覧頂きたいと存じます。簡単に言いますと、将来、組織の中で必ず必要になると思われる能力として、「解決を迫られる問題点が出てくる、それについて検討するために調査する、文献・インターネットなどから関連した情報を収集する、直接そのことをよく知っている人へ取材する、まとめる、プレゼンテーションする」などの一連の能力が求められることになると予想され、そういう能力を備えた人がこれからの社会では大事にされると予測されます。その能力のスキルアップを図ることを目指しているものです。
 まさに実践的鍛錬を目指しているともいえます。

 1学期は「自分探し」というテーマで、個々の生徒が将来の「学び」・「働き」・「生き」かたをその分野の「先達」に対してインタビューする形式で考察しました。2学期は「世界探し」というテーマで、個々の生徒が世界の人々、国々、地域とどのように繋がることができるのか、文献調査や取材、フィールドワークを通じて考察しました。授業では担当の先生が、学期のテーマに関連した話題を提供し、生徒の興味関心を広げる授業を行い、その中で、自分の興味関心に応じて一人ひとりが独自のテーマを持ち、レポート作成に取りかかります。
 その際、刊行された文献や新聞、インターネットによる文献、その他取材やフィールドワークを交え、材料を集めます。
 そうしたものをもとにしてレポート作成にかかります。レポートを実際に作成するに当たっては、趣旨や目的は理解できても、また書き上げた時の達成感や、効果としての新しい力を身につけられることは分かっている。しかし実際に文章を作成しようとしてワープロ(勿論原稿用紙に書いても良いわけだが)に向かうと作業がなかなか進まなかった生徒も実際にはいたようであります。また、取材などで困難が生じた場合には、授業担当者が授業中、或いは課外時間を使って相談に応じています。その中で、何とか完成させ、全員が提出したと聞いています。大きな苦労を伴う作業であることは確かです。
  
 苦労は伴うにしても上に挙げた手順をみんなが踏んでいるか、担当の先生が途中の要所要所で確かめながら進むわけです。そのレポートが今集まってきたところです。さて内容はどうでしょうか、また、学校が意図している力は一人ひとりに備わってきているであろうか。校長としてはわくわくしているところであります。