校長のメッセージ  10 和田 征士 平成15年 1月20日
 《 大学入試センター試験 》
 1月18日(土)、19日(日)に大学入試センター試験が行われました。毎年、本校は入試センターの試験会場として使われています。実施の直接の責任は東京大学で、本校の教室を使うという形で実施されます。
 本校のセンター試験受験者は全員本校で受験します。この点本校生はいつもの校舎で、いつもの交通手段で会場に行けますから、気持ちの上で他の受験生よりは有利な面があります。
 本校の高校3年生の90%以上が受験します。これは例年の事です。結果はこの成績が受験生の希望大学に送付され、各大学で実施される二次試験を経て合格者が決まり、所謂合格発表がされます。現段階では昨年の合格実績をこのホームページの別項で詳しく載せていますが、国公立大学にも東京大学初め多数進学しております。
 大学入試センター試験の今年の受験者数は、同年齢人口が減少しているにも拘わらず55万人余に達し、過去最高であると報じています。このセンター試験結果を入試判定資料に利用するのは、かっては国公立大だけでありましたが、徐々に私立大学に広まっていき、現在では難関といわれる私立大学でも、入試センター試験の結果を用いる大学が多くなっています。本校の高校3年生にセンター試験の受験者数が多いのは、その流れを受けているからです。
 このセンター試験は来年から少し変わります。多くの国公立大がセンター試験の指定教科科目数を多くすることが発表されています。また、長い間の懸案事項でありました英語にヒアリングの試験が平成18年から導入されることもすでに決まっています。来年からの国公立大における受験教科科目数増は、私はいい傾向と見ています。その背景等についてはそれなりの理由と私の受け止め方についていつかこの欄でもご紹介したいと思っています。国公立に刺激されて私立大学でも、受験科目数を増加させてほしいものです。それが実施されれば、大学生の学力低下といわれている問題が大きく改善されるであろうと見込んでいます。
 センター試験が終わった翌日には、発表されている解答に基づいて自己採点が学校で行われます。それを受験者が受験予定校を書き添えて大手の予備校に通知すると、推定の合格率が本人に知らされるシステムができています。受験者はそれを参考にしながら最終的に願書提出大学を決定し二次試験に臨みます。

《 文系か理系か 》
 本校のセンター試験会場の実施責任は東京大学文学部です。過日東大文学部の実施責任者の方が本校にお見えになり、会場準備等の打ち合わせを行いました。その折りに責任者の方の名刺を拝見しましたところ、文学部大学院教授でありながら、「医学博士」の肩書きを持っておられる方でした。その関連の話もそこで行われましたが、私はかねがね以下のような考えを持っております。それは、世の中は文系・理系は基本的に違い、本質的な違いがあるように理解されている向きが強いように思います。だから、中・高生が自分は理系、自分は文系と早くから決める傾向があります。私はそのわけ方をあまり早くから行わない方がいいとかねがね思っていました。
 文系・理系確かに違いはありますが、本質的な違いがあると考えない方がいい。今回見えた東大の教授のように医学博士でありながら、文学部教授として在籍するという例からも考えられるように、文系・理系に違いはない。科学(広い意味での科学)・学問を追究する上で、このことは大事であると思います。
 本校では、現在文A・文B・理の3コースに分かれています。来年度高校入学生から、文と理の2コースになります。文・理の人数分布は、ほぼ半数ずつと予測しています。このコース分けは高2で行われます。
 このようにコース分けが行われますが、文系選択者は理科数学を、理系選択者は文系科目をそれぞれ必修として履修するようカリキュラムが組まれています。しっかりしたリーダーは、常に総合力が必要になるであろうことを踏まえています。
在校生の文理の割合が半々という学校は少ないようです。大概は文の方が多い傾向があります。しかし昨年日本で二人のノーベル賞受賞者が、物理化学であったことなどを契機として、理系の良さが見直されているとも聞きます。いずれにしても、中・高生が早い段階で文系理系を決めてしまうのではなく、両方の勉強を等分に学んでいく心構えが大事だと思います。