第10回 学校2年 理科  石塚 泰啓先生

       生物を学ぶことのおもしろさを伝える


石塚写真

 石塚 泰啓 先生

プロフィール

昭和50年9月生

 

中学2年担任

中高生物部顧問

  中高バスケット部顧問


校長が見た 海城中学校の理科
 

 石塚先生は、中2の生物分野を担当しておられます。中2各クラスの生物の時間は、物理・化学・地学と同様、週1時間です。中学の理科は、物理、化学、生物、地学の各分野をそれぞれの専門の教員が担当するため、生徒の質問や興味、関心を最大限に引き出し、能力を伸ばしていくことが可能となっています。中学2年生にとって、1学期の生物は、10〜12時間ありました。

 今学期は、生物実験室で行う解剖実験を2回、普通教室で行う簡単な実験を2回ほど実施しました。中2の1学期のテーマは「動物における刺激の受容と応答」です。

 
1学期授業の展開
 

1学期の生物は、動物が外界の刺激を受容し、適切な応答をするまでの間に、一体からだの中でどのようなことがおこっているのかという内容についてです。

 それぞれの感覚器がそれぞれ特定の刺激にのみ反応することを概説した後、とりわけ、視覚、聴覚、触覚にポイントを絞って授業を展開してきました。

 例えば視覚についは、カメラ眼である脊椎動物の目の構造について理解を深めていく過程で、生徒一人ひとりがマリオットの盲斑(盲点)の試験を行い、自分自身の目に盲斑が存在することを確認しました。また、なぜ脊椎動物の目には盲斑が形成されてしまうのか(イカやタコの目は同じカメラ眼なのに盲斑が存在しない!)といったトピックや、盲斑の存在によって欠けてしまう視覚情報を、実は脳がまわりと同じようにせっせと「書き込み」をしているということの確認、さらに、錯視(古典的なネッカー・キューブや、静止画なのに動いて見える画像)などを授業に取り入れることによって、視覚の不思議について生徒に興味を喚起させるよう工夫しました。さらに生徒たちは二人一組でブタの目を解剖し、机上で学んだ内容を肌で体感しています。

 また、触覚については、生徒たちに身体の各部位の2点識別閾値を二人一組で調べてもらい、その数値から何がわかるかを考えさせた後、ペンフィールドの感覚ホムンクルス(大脳皮質において皮膚感覚を支配する領域)を示し、この感覚野における各身体部位の領域が2点閾値によって示された鋭敏さに大まかに対応していることを指摘しました。

 このように、授業時間に比較的ゆとりがあるおかげで深みのある授業を展開できるのが、海城の理科の恵まれているところです。

 

 
 
授業の進め方 実験は後片付けも大事

 1学期の前半で感覚器について学んだ後、それぞれの感覚器で感知した信号を統合する脳について、石塚先生の指導のもと、教育実習生の寺山晃司君(本校卒業生)が2回授業を行いました。

 2回目の授業では、生物実験室で鶏頭水煮を用いたニワトリの脳の解剖が行われていました。前の授業で哺乳類の脳の構造とはたらきについて学んでおり、今回の授業は、本物の脳を体感すると同時に、鳥類と哺乳類の脳の構造の相違点と生活様式(進化)との関連について考えることが狙いです。

 寺山君による導入と演示実験による手順の説明、注意の後、生徒たちは二人一組で早速解剖にとりかかりました。最初は皆、鶏頭を間近にしてそのにおいや形に過敏に反応していましたが、多くの生徒はすぐに慣れた様子でした。水煮のため非常に軟らかくなっているようで、ピンセットでつまむだけで簡単に皮や肉、頭蓋骨が取り除かれていきます。生徒はとりだした脳を背側、腹側よりスケッチした後、正中面で切断し、内部構造を観察していました。ここまでで、授業開始後30分弱が経とうとしていました。

 その後、生徒たちは解剖して気づいたことを大脳と小脳、視神経に焦点を絞って発言し、これらの点についてより理解を深めるために、本物のブタの脳を見て鳥類の脳との違いを確認したり、冷凍の鶏頭の水平断面を見て視神経交叉を確かめたりしていました。教卓上に用意されたブタの脳や鶏頭断面が卓上カメラを通してテレビに映し出される度に生徒たちの「おーっ」という驚きの声が上がります。

 授業の残り7〜8分で実験の後片付けを済ませていました。石塚先生によると、理科の他分野でも実験が多く行われているため、後片付けもてきぱきと要領よく行われているとのことです。

授業者のコメント

 生徒たちは中学入試を突破しているだけのことはあって知識は豊富ですし、中学生で学ぶ程度の内容は簡単に消化してしまいます。しかし、だからといって単純に高校の内容を先取りするのはどうかと私は思います。教科書的な内容にとどまらないさまざまなトピックや実験を通じて、有機的な授業になるよう心がけています。生物を学ぶことがおもしろいと感じる生徒がいる一方、ただの暗記科目ととらえている生徒もいないわけではありません。生物を学ぶことのおもしろさや意義(そもそも私たち人間は生物なのですから!)をどのようにしたらうまく伝えられるのか、毎回模索しています。

 

 

実験の様子

ニワトリの脳の解剖の手順(動画ファイル)  申し訳ありません、現在掲載されておりません。
調整出来次第掲載します