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 1学期 医学部小論文・面接講座特別企画「チーム医療の中で問われること〜本当の専門性とは何か〜」

 本校では、医学部への進学を希望する生徒たちを対象に「医学部小論文・面接講座」と題する講習を実施しています。医学部を受験する際に課される小論文試験や面接の対策を行うことはもちろん、医学に関する課題や最新のテーマに対する講義やディスカッションなどを通して、医療のあり方、医師という職業への理解を深めることを目的としています。


 1学期は「医者患者関係論」をテーマに全7回で実施されました。その第6回目は特別企画として、野口弘之さん(作業療法士・井之頭病院作業療法室統括部長)・曽根原純子さん(リエゾンナース・神戸大学医学部付属病院看護部メンタルヘルス室)・瀬野佳代さん(三恵病院看護副部長)のお三方を学外からのゲストとしてお招きしました。


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 まずはじめに、三名の方々から「チーム医療」と「専門性」をテーマにしたお話をうかがいました。



 野口さんは作業療法士の仕事の内容について具体的に触れた後で、チームで働いていく上で、どのような医師が信頼できる医師なのかということについて実例を交えながら話されました。自分の判断を重んじるあまり、他人の意見に耳を傾けることのできないようでは、信頼される医師になることはできないというお話は、医師を目指す生徒たちにとって意義深いものだったのではないでしょうか。個人的には、チーム医療においては、自己を開示すること、自分の失敗やできなさについて認めることと、他職種を尊重し情報を共有することこそが重要だというお話は印象的でした。


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 曽根原さんは、専門看護師とはどのような存在なのか、医療現場においてリエゾン(連携・橋渡し・つなぎ)ナースはどうして必要なのかということついて丁寧に説明されました。そして、将来医学部に入った際に生徒たちに心がけて欲しいことを話されました。大学生のうちに医療の分野だけにとらわれず、アルバイトやボランティア活動など様々な社会経験を積むべきだというお話に、生徒たちは真剣に耳を傾けていました。個人的には、「生」と「死」について体験的に考える機会を持つべきだというお話が大変心に残りました。


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 瀬野さんは看護師の仕事について話された後で、これから医師を目指す生徒たちに期待することについて話されました。医師に求められる力として、人の話を上手く聞く、人の話を良く聞くことをあげた後で、チーム医療を担う医師に必要な資質として「人の良いところを見つけられること」「ほめ上手」であることを指摘されたことが印象的でした。医師は人の体の悪いところを見つけて治そうとすることが習慣化されているあまり、人の良いところを見つけることができなくなる恐れがあるからこそ、人の良いところを見つけられるようにしなくてはいけないとのお話は、大変興味深く思いました。


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 その後、三名の方に生徒からの質問にお答えいただきました。「このような医師になってほしくないと感じるのはどのような医師か」「看護師の専門性とはどのような点にあるのか」「チーム医療を行っていく上で重要なことは何か」「それぞれの立場における患者との関係はどのようなものか」など、生徒から次々と質問がだされ、大変活発な質疑応答となりました。


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 最後に、それぞれの方から医師という職業を志す生徒たちに対して激励のメッセージをいただき、講演会は終了しました。


 参加した生徒の感想を紹介します。


「私は今まで医師・患者関係論について学んだ際、患者から診た医師像についてしか考えてこなかった。患者にとっての理想を追い求めたいただけだった。もちろんそれも大切だが、患者を治療するパートナーである作業療法士の方であったり、看護師の方と、いかに連携していくかが非常に大切であることに気づいていなかった。」


「僕がもっとも印象に残った話は、野口弘之さんが話した『仲間内でも情報を共有する』という話だ。自分がいなければある治療ができなくなる、という『余人をもって代え難し』の存在になってはいけないとの言葉は、医者だけにあてはまる話ではないと感じた。」


「今回の講座で、一番考えさせられたことは、『医療は患者のためにある』ということです。(中略)『チーム医療』は実際には様々な職の立場から患者に関わることで、患者の多面的な情報が得られることが大きなメリットであり、その情報を共有することで患者一人一人にあった治療を行うことができ、患者のQOLの向上へとつながるのだと思います」


「医師と患者間のコミュニケーションは重要なことは言うまでもない。しかし医師と医師、医師と看護師といった同職種間、異職種間でのコミュニケーションについて考えるのは自分にとって初めての機会だったので、特に印象に残った。」


「講演中で興味深かったのは『患者の見せる顔』についての話だ。患者が医師に見せる顔(様子)と、看護師に見せる顔は違う。作業療法士にもまた違う顔を見せる。大切なのはチームそれぞれが、「自分の見た患者」をお互いに交換し合い、共有すること。「顔」を多くあつめれば集めるほど、より患者のことを第一とした医療をほどこせるということだ」


「それぞれの職種ごとに、患者が見せる顔が違うのだ。医師が聞き出せなかったことも、患者の生活に深く関わって生活している看護師なら聞き出せるかもしれない。それら全ての職種の人たちが集めた情報を共有して、患者の希望に沿うような治療方針を決めていくことが、患者のQOLを高めることに繋がっていくに違いない」


 日々医療の最前線で活躍されている方から直接お話をうかがう時間は、医師を目指す生徒たちにとって有意義なものであったことがよくわかります。共に参加した教員も大変刺激を受けました。今後もこの講座の中で、医療の現場で活躍されている方をお招きし、お話をうかがう機会を作れたらと考えています。


 最後になりましたが、大変お忙しい中わざわざ本校までお越しいただき、お話して下さった、野口さん、曽根原さん、瀬野さんに心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。


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(医学部小論文・面接講座 担当中村)

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