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 理科 地学 地学巡検旅行(東海方面)

 7月30日(火)から8月2日(金)にかけて,地学科では,地学部員を中心に東海地方での地学巡検旅行(3泊4日)を行いました。今回は,東海地方を巡る巡検で,長野県の寝覚ノ床,岐阜県の瑞浪の化石や鵜沼のチャート,愛知県瀬戸市での生態水文学研究所を訪れました.教室を飛び出して,自分たちの足で時間をかけて現地に赴き,そこで体感したことは,彼らの大きな財産となったと確信しています.

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川原に転がる大きなレキと思われる岩をバックに記念写真。自然の偉大さがわかります。教科書や資料集の写真では実感できない本物を見る醍醐味がここにあります。


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1日目(30日)
1日目は中央本線を鈍行でゆっくり西へ移動し,長野県の寝覚ノ床を目指しました。寝覚ノ床は、木曽川が花崗岩を侵食し,壮大な地形が出来上がっています。また、花崗岩の方状節理や大きな甌穴としても有名な場所です。河川の作用がダイナミックさが体感できました。

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中央本線の列車内。車窓から山地や盆地、河川など風景が変わり行くことを見るのも学びです。新幹線のスピードでは体感できない風景と距離感。遠くまでやってきた実感もわくと思います。

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寝覚めの床での記念写真。先輩は前回、雨にやられたリベンジを果たせました。

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川原に転がる大きなレキと思われる岩をバックに記念写真。自然の偉大さがわかります。教科書や資料集の写真では実感できない本物を見る醍醐味がここにあります。

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もう少し近づいてみると、河川の浸食のすごさがわかります。硬い花崗岩が長い時間をかけて削り取られたことがようわかります。

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木曽川の美しさにも心惹かれますが、一見、静かなような流れもかなりの水量があります。手前は川幅が広く、水深も深い部分です。途中から奥の方は白く泡立っていて、河川の流れが強いことがわかります。水の力は強い。川や海で遊ぶときに、見かけに騙されてはいけないことを覚えていてください。

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寝覚ノ床の花崗岩。非常に典型的で、石英、長石、黒雲母がきれいに見られます。蛍光灯ではなく、強い太陽光でみる鉱物は美しい。


2日目(31日)
 2日目は、岐阜県瑞浪の化石と鵜沼のチャート層が目的でした。良い天気で熱中症に注意したいくらいでしたが、おそらく一昨日までの雨で、化石採集予定の土岐川が増水しており、川原での化石採集は中止となりました。残念ですが、予定を変更して博物館の見学、化石壕と博物館周辺の露頭を観察しました。その後、鵜沼へ移動し、猛暑の中、鵜沼駅から数キロを往復し、木曽川の河原に露出するチャートを見に行きました。こちらも水量が多く、計画を縮小しましたが、無事に見ることができました。 大変な時間と体力を使いますが、何億年なのかわかりらない悠久の旅を経て、ここにあるチャートに腰かけ、そのプロセスに思いを馳せてみるは、最高の学びだと思います。夜は、後半、お世話になる東京大学大学院 農学生命科学研究科附属演習林 生態水文学研究所に宿泊します。本日は、明日の実習に関する説明を夕食後にしていただきました。

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無念の中止。このあたりは博物館が許可した場所以外は、化石採集が禁止です。これも自然の真の姿と許容するのが正しいでしょう。でも、また楽しみや目標ができました。

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瑞浪の化石博物館の見学。この手の博物館が廃止されていく流れにあり、とても価値のある博物館でした。瑞浪は地質学の世界では有名ですが、こういう施設をしっかり残していかなければと思います。

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ここ瑞浪市で世界で始めて頭骨が見つかったのがこのデスモスチルスという生き物です。第三紀を代表する哺乳類です。

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デスモスチルスの歯です。このスケッチがよくセンター試験などに出るのですが、やはり教科書の写真よりは博物館で実物を見る方が良いです。掘り出せればもっと素敵ですが…笑。

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こちらはビカリアというこれも第三紀の有名な古生物です。ここ瑞浪はその山地として知られており、上段のような珪化した化石が「月のおさがり」と呼ばれ有名です。

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見学予定はなかった博物館の脇にある化石壕を見学。化石が密集して見られました。

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こちらも博物館のすぐそばの露頭です。ノジュールが見られ、産出状態がよくわかりました。

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露頭で見られた貝化石です。次回は、是非、実際に掘ってみたいところです。

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駅までの帰り際に、土岐川の川原へ。普段の状態を知りませんが、川幅や川原の様子から水量が多いことがわかりました。天気はすぐに回復しても水量は遅い。こういう残念な経験も大切な勉強です。

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鵜沼のチャート。はるか大平洋の深海底などで放散虫などの死骸がゆっくり堆積し、長い年月をかけて固まった岩石です。これがプレートに運ばれ日本列島にくっついたため、ここで見られるのです。そのチャートの上で、ダイナミックな成り立ちを学ぶ…私が考える最高の勉強です。

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ここのチャートは赤色や黒色をしています。これは、当時の堆積環境(酸化・還元状態)を反映しています。そのことは、生物種の95%が姿を消した古生代末の大絶滅の謎にも関係していて興味深いです。

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生態水文学研究所に到着。とてもおいしい食事で大満足。

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今回お世話になった生態水文学研究所の田中延亮先生より、明日、実習する森林からの土砂の流出量の測定に関する説明を聴きました。

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講義後、同じタイミングで演習林にてカエルの調査をしていた大学院生にカエルの話を聴きました。


3日目(1日)
3日目は,生態水文学研究所のある演習林で、一日、森林水文学に関する調査を行いました。朝から雨が強く降り心配しましたが、何とか午前中のうちに止み、少し計画は縮小となりましたが、十分な実習することができました。具体的には、森林からの土砂の流出量の測定です。この調査は、森林伐採ではげ山になってしまった頃から,80年くらい継続されてきたもので,森林の回復とともにどのように土砂の流出量が変化してきたかを捉えている学術的にも珍しく貴重なデータです.今回は、その貴重なデータの測定にかかわらせてもらったのです。測量をしてから,土砂と川に流していく「砂出し」という作業を行い,また測量をして土砂の量を測定します.「砂出し」はかなりハードで、いくつかの種類の道具で,数時間,ひたすら砂を水の流れに乗せるようにして崩していくという,しんどいものでした。最終的に,測量の結果を算出してみると,我々とスタッフの方々で合わせて32m3の土砂をかき出しました.でも、教室では見られないような笑顔とまなざしを見ることができ、たくましく感じました。少々マニアックではありますが、この貴重な調査に関わることができ、皆さんにとっては、充実した爽やかな汗を流したのではないでしょうか。

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研究所前の白坂量水堰です。山地の森林から流れてきた土砂は、ここの堰で堰き止められます。そして、その土砂はここに溜まっていきます。この量を測りました。ここでは流量も測定されています.

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まずは,堰の水を抜いて,土砂の上面を測量機で丁寧に測定していきます.

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堰の中をメッシュに区切って,細かく測量していきます.真ん中に立てた尺の目盛りをさっきの機械でと読み取ります.

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作業は10人弱でグループを組み,お互いに声を出して確認しながら,協力して作業を進めます.最初は,小さな声すら出ない子も,作業が進むにつれ,少しずつ大きな声が出るようになっていました.

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カエルの調査をしていた大学院生に,採集したイモリやカエルを見せてもらいました.

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興味のある子には,詳しく研究内容を説明していただき,ありがとうございました.地学にこだわらず,フィールドでは色々な分野に触れて学んでほしいです.自然な学びといえます.

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測量が終了し,これから「砂出し」です.流れをコントロールして,スコップなどで土砂を移動して流していきます.自然の力を利用した水と人間の共同作業です.ハードな仕事に汗がダラダラ流れます.

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休憩時にはスイカをいただきました.一生懸命作業した後のスイカは格別でしょう.

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砂出し前の堰の様子.者色の部分は,落ち葉などの腐食した層で,その下に土砂がたまっています.

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砂出し後の堰の様子.茶色の部分が無くなって,土砂が減っていることがわかるでしょうか.上からだとわかりにくいですが,土砂の山がいくつかなくなりました.(クリックして拡大してみてください)

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ハードな作業の後にハードな計算.海城生はすごいなと思いました.私にはとてもできない.砂出し前後に行った測量か土砂の量を計算します.

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夕食後は,地学部の主となる地質,天文,気象水文班の研究内容を発表してもらいました.中1諸君,参考になったでしょうか.先輩にあこがれて,研究の世界にもチャレンジしてください.


4日目(2日)
 最終日です.昨日の疲れも残る中,生態水文学研究所の研究内容を,田中延亮先生に演習林を歩きながら説明してもらいました.気象観測,水文観測,生態系調査など,様々な森林に関する研究を,実物を前に説明してもらい,わかりやすく面白いものでした.午前中で実習は終わりとし,夕方前の新幹線で東京に戻りました.さすがに帰りの新幹線は寝ている部員が多かったです.
3泊4日の頭も体もフルに使ったフィールドワークでしたが,苦労した分,得るものも多かったのではないでしょうか.学校の授業だけで学びではないこと,もっと複雑で面白い世界が大学の先にはあること,そして,自然の素晴らしさ,複雑さ,恐ろしさなどを感じてくれれば,企画したものとしても格別の喜びです.最後に,田中延亮先生をはじめ,この実習を行うにあたり,ご協力いただいたすべての方々に感謝し,御礼申し上げたいと思います.

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気象観測施設の見学.水文学で重要なインプットである降雨や大気からの降下物の観測機器です.

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昨日は雨と砂出しで濁っていた水も,すっかりきれいな色になりました.

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演習林敷地内にある小長曽陶器窯跡の見学.この陶器を焼く燃料となった薪のために,森林が荒廃したのです.良質の粘土を提供した地質的な要因も合わせ,自然と人間の関係性が垣間見られます.

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森林の上流部の量水堰です.この演習林にはこのような堰がいくつかあり,水の流れを捉えています.

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ここでは森林生態のモニタリング調査に関する説明がありました.生物学と地球科学の両分野にまたがる面白い森林の研究が見えてきましたか.

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過去に荒廃してハゲ山になってしまった頃の名残が残っている場所に連れて行ってもらいました.ここだけは,気が少なく花こう岩がむき出しでした.右前方には濃尾平野が見えます.

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最後に,宿舎の前で記念写真.どうもありがとうございました.なお,真ん中のお二人はマレーシアからのインターンシップ生で,英語での国際交流もできました.

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